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「オムツになってから、母が急に老け込んだ気がするんです」——ご家族からこんな言葉を伺うことがあります。
外出をいやがるようになった。口数が減った。「どうせ私なんか」と言うようになった。それは、年のせいだけではないかもしれません。排泄の失敗やオムツへの切り替えは、ご本人の自信と「生きる意欲」を静かに削ってしまうことがあるのです。
当院では、「オムツだから仕方ない」で終わらせないために、自立生活回復に向けた科学的介護(自立支援)に取り組んでいます。2025年から導入している科学的介護メソッド**「かなえる」**(株式会社日本経営の協力によるメソッド)を軸にした、オムツ使用ゼロを目指す取り組みです。
「科学的」とは、根性論の反対です
「オムツを外す」と聞くと、本人に頑張らせる特訓のようなものを想像されるかもしれません。実際は逆です。
科学的介護の考え方では、トイレで排泄できなくなる背景には、はっきりした原因があると考えます。代表的なのは次の4つです。
- 脱水:水分が足りないと、意識のはっきりさや活動性そのものが低下します。
- 低栄養:食事量が減ると、動く力も意欲も出ません(1日1,500kcalの摂取を目標にします)。
- 排便の困難:便秘や不規則な排便が、失敗や不快感のもとになります。
- 運動不足:歩かない日々が続くと、歩く力とともに「歩こうという気持ち」も失われます。
そこで、水分・食事・排便・運動の4つを基本ケアとして毎日ていねいに整え、その方に何が起きているのかを毎週のカンファレンスで多職種が話し合い、対策を検討していきます。原因に手を打つから、変化が生まれる。それが「科学的」の意味です。
どんな方に向いていますか?
活動性が下がり、排泄がうまくいかなくなってきたときが、いちばんの相談のタイミングです。たとえば——
- オムツを使うようになってから、目に見えて元気がなくなった
- 便意や尿意が分からなくなってきた
- 「トイレ、トイレ」と何度も訴えるようになった
- 歩行が不安定になり、歩く意欲そのものがなくなってきた
こうしたサインは「人間らしい生活を取り戻したい」という、ご本人からのSOSでもあります。オムツからトイレでの排泄に戻れることは、単に介護の手間が減るだけでなく、ご本人の自信と笑顔を取り戻すことにつながります。もちろん、お体の状態によって経過はお一人おひとり異なりますので、まずは今の状態をお聞かせください。
退院したら終わり、ではありません
この取り組みは入院中だけで完結するものではなく、退院後も経過を見ながら、必要なときに再び入院して立て直すことができます。半年ごとに支援のための入院をしながら、ご自宅での良い状態を保っている方もいらっしゃいます。
そして何より、私たちが大切にしているのは技術だけではありません。『手と手』『心と心』のふれあいを通じてケアを実践すること。2024年から進めている身体拘束を最小化する取り組みも、同じ想いの上にあります。
まずは、医療連携室にご相談ください
科学的介護(自立支援)のご利用には別途契約が必要となるため、内容や進め方について、まずはお話をさせてください。「オムツを外せるかどうか分からない」という段階のご相談で構いません。
お電話(03-3953-5555・代表)で**「医療連携室に相談がある」**とお伝えください。取り組みの詳細は公式サイトの科学的介護(自立支援)のページでもご覧いただけます。
あわせて、介護で限界を感じる前に知ってほしい地域包括ケア病床の記事や、自立支援の現場の様子を描いた「できた!」の瞬間もぜひお読みください。
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